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「翔真はどうして自分が私と同じ『吉田』でなく『佐伯』なのか不思議だっただろう。私もできれば『吉田翔真』として育てたかった。しかし、それは佐伯さんが認めてくれなかった。本当は佐伯さんも翔真を手離したくはなかったんだ。血の繋がりはなくても、佐伯家の息子だと一歩も譲らなかったからな。きっと断腸の思いで私に託してくれたんだと思う」
自分と血が繋がらない息子。
だけど、佐伯のお父さんも実の息子の祥平さんと同じように愛情深く見守っていてくれたんだろうな…。
主任のお母さん…文子さんも、本当は自分で育てたかったはずだよね。
ただ、祥平さんを妊娠していろいろと不安になって、精神的に辛くなっちゃったんだろうと思う。
けっして育児放棄とかいう訳ではなくて、主任のことも祥平さんのことも大事に想うからこその葛藤とか。
「俺は佐伯の父から手紙を受け取って、いろいろと話をした。吉田さんには『翔真に真実を話さないでくれ』と頼んだけど、そのことは撤回したいと言ってた。だから俺もタイミングを計っていたんだ。そして今日が真実を明かす時だと思ったんだ」
龍崎さんが佐伯さんから託された想いを話した。
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