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「父さんは血が繋がっていなくても翔真が佐伯家にいつでも戻れるようにしていたんだ。先の事は解らないが、もし翔真が自分の意志で佐伯家に戻る事を願うならそれを叶えてやりたいと。佐伯の家を継ぐ資格だってあるし、継ぎたいというのなら継がせてやるつもりだと。だけど病気で入院してから、真実を伝えないままいることは許されない事じゃないかって思うようになったらしい。それで、俺に真実を打ち明けてくれたんだ」
吉田先生は主任が生まれた事を知ってから、『引き取りたい』と何度も何度も願い出たそうだ。
その願いは聞き入れてもらえないまま数ヶ月が過ぎ、やがて文子さんは祥平さんを妊娠した。
佐伯さんとは血の繋がらない長男と、血の繋がった次男。
同じ様に愛情を分け与えて育てることができるのか?
不安やストレスを抱えてしまった文子さんは精神が不安定になり、育児が困難な状態にまでなってしまった。
体調も思わしくなく、このままではお腹の赤ちゃんにまで影響を及ぼしかねないとのことで、まだ1歳にもなっていない主任を吉田先生に預けることになったらしい。
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