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「これ、ファンレター」
「あぁ、どうも」
事務所で渡された箱の中、いくつかのファンレターが入っていた。
メンバー個々に読んでいく。
「なぁ、これイオリ宛だ」
「え?」
「ほら」
手渡された絵葉書。
淡い紫の小さな花の写真。
ただ、その絵葉書に書きなぐられた文字に、胸が熱くなった。
「俺、今日は帰る!」
「えっ!イオリ!?」
事務所を飛び出してタクシーをひろって向かうのは空港。
「なんだよ…今頃ズルイじゃないか…」
いや、ズルイのは俺も同じだ。
泣きそうになりながら、窓の外を見上げた。
【高校時代の最低な君へ。
僕はあの時苦痛じゃなかった。
あれから何年経ったかな。
僕はいつも、どんな時でも君を思い出して焦がれている。
もしそう言ったら、君はどうする?
6月27日の午後留学先から帰国する
もし会えるのなら…
あの日僕が伝えたかった言葉を……】
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