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「転生は確定事項。天変地異があろうがこればっかりは変えられない」
ぼくの探究心…ううん、私利私欲…これも違う。
そう、世界救出の大義名分。これだ。
「私利私欲…と、言質は取れました」
「あれ? 僕もしかして声に出てた? 」
「ばっちり音声録画できましたので、裁判官に渡しておきますね」
地味にやめて。僕の存在を抹消されかねないから。
「世代交代って言葉を知っていますか? 」
「この話はもう終わりにしようよ」
とりあえず、転生の話を進めないと。こんな茶番をしている今も、深刻な事態は着実に進行している。
「僕の事はほっといて、君が転生した先で有意義に過ごせるよう。神から力を授けよう」
僕がいくつか立てた計画。その中には最悪の事態に備えたモノもある。今回の件はそれに当たる。
「さぁ、受け取ってくれたまえ」体内を渡り、手のひらから一つの物体を出す。
神さま特性、転生者スキル詰め合わせ箱。
丹精込めて創った、僕の自慢の一つ。
「……変なもの混ざってない? 」
「失礼な。誰もが喉から手が出るほど欲する、この神々しいギフトに対して、異物混入を疑うなどと」
「これは純粋な僕のエネルギーから生まれた、僕のエネルギー体の塊。不純物などありません」
「え、なんか気持ち悪い」
「なんで余計に嫌な顔するの? 泣くよ? 僕泣くよ? 」
もういや、子供の扱いわかんない。不老不死とか膨大な魔力量を要求しないあたり、しっかり現実見えてる子だとは思うけど。
「受け取るだけでいいから、この箱持ってよ」
「えー、えーーー、うーん」
用心深いなぁ。さっさと取ってほしい。そうすればぐふふふ。
「なんか怪しいけど……取るだけなら」
そう言って、箱を取った。やったね。
黒咲和樹の手の中に収まり、その箱は一層煌めき立つ。ぱかっとひとりでに開き、カラフルな光が彼の身体を包み込んで浸透していく。
第二段階完了。
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