蓄音機とか青春の輝きとか初恋とか

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なんだか窮屈そうに端に寄せられているので、気の毒に思って近づいてみると、柔らかな埃がちらちら被っており、案の定暫くは使用されていない様子だった。 ピアノ越しに古い桜の巨木が見えた。 手持ちぶさただったのか学芸員がつかつかと近づいてきて、 ピアノは暫く壊れたままになってしまっていて… と言った。 僕は、 そうですか。 とだけ言い、柔らかな緑色を覗かせる桜の巨木を見つめ続けた。
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