蓄音機とか青春の輝きとか初恋とか

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竹の針を使用しているんです。針がしなやかで、切ない音がします。 「切ない」 といった彼女の言葉が引っかかった。 ゆったりと時が流れる。 「イタリア水夫の歌」 が流れて、あぁいつ聴いたか、記憶にないほど小さいころに聴いたな、と思った。 途端、ぶわっと強風が吹き、桜の花びらが、それこそ無数に(本当に、そのときは花びらのピンク一色だった)舞い上がり、あぁ桜吹雪だ、桜吹雪だ、と僕は思い、なんだか少し切なくなった。
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