彼女が築きあげたもの。

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夕焼けのオレンジが、教室を照らしている。 今日でこの教室と、お別れだ。 今日でこのクラスのみんなともお別れ。 「みんな、ホントにありがとう。三年間みんなで築き上げてきた心の強さとか、責任感とか、どんな困難にも立ち向かっていく勇気と、冷静な判断、思考能力とか、この先社会に出て、つらい事とか嫌な事があった時にはこの三年間を思い出してきっと……乗り越えて見せるよ」 卒業証書の入った筒を握りしめて、片手で溢れてくる涙を拭う。 「……もちろん、日々の鍛練も怠らないし、毎日技術の向上を目指して切磋琢磨するよ。……この制服も、今日までか。返り血を浴びる度にクリーニングに出してきたけど、やっぱり三年も着るとボロボロだねっ」 スカートのすそを摘まむ。 「一人でこの黒板書くの、大変だったなぁ」 今年の卒業生は、私ひとり。 「じゃあみんな、バイバイッ」 教室に屍の山を築き、私は卒業する。
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