{浦原茗………}

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近くでパシャパシャと―…妹よ、何をしている。 ココアを飲んでいるのをカメラに収めて面白いか。 「もうもうもうっ!泣き顔も綺麗なんて!素晴らしい素質!」 【…………】 さっきから何を言っているかわからんが、“泣き顔”って所に、俺は片手をカップから離して頬に触る。 【……】 泣いた。 泣いている。 メイが…? 俺が? 俺が泣いている。 この俺が…………。 委員長の方をゆっくりした動作で見た。 泣いている自分に驚いて止まっていた涙は、瞬き1つでまた、少し流れた。 委員長は泣きそうな顔をして、淡く笑んでいる。 【?】 俺の疑問がわかったのか、委員長は口を開く。 「泣いてくれたなって」 【…】 「ナナが茗くんを好きで、茗くんもナナが好きでいてくれて嬉しいなぁって」 【…………ナナ、オ】 そうか、俺もナナオが好きだったのか。 2人が楽しく穏やかに過ごしているのを見ていて、飽きなかった。 どこかで、俺も安心していたのかもしれない。
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