第1章

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 そして激突の瞬間、欠落していたパーツが噛み合うような、カチッという衝撃と共に蘇る記憶。  俺はコブのできた頭を押さえて絵梨子に向き直る。 「思い出した。今日はお前の誕生日じゃん」 「そうです。で、約束も思い出しましたか」 「もしお前が30歳になってもお互い独身だったら、結婚しようって」 「正解です。てか、そんな大事なこと忘れますか普通」  呆れる絵梨子の姿が暗く陰る。薄れ行く意識の中、「脳震盪」という言葉が頭をよぎった。
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