第1章

2/2
前へ
/2ページ
次へ
 みんなで落書きした黒板の前で、幼馴染の女の子が卒業証書を握りしてめて泣いていた。  なぜ泣いているのか、その理由は知っているし、泣かせる原因は僕にあった。  あの子と僕は違う大学に進む。初めて離れれるのが悲しいらしい。 「なんで、そんなに泣くんだよ」  声をかけると、振り向いて答えた。 「君が、どここか遠くにいちゃって、他の誰かを選ぶ気がして……」  前から、彼女が僕に好意を持ってることを知っていた。だけど、僕は一歩踏み出せなった。だから、その僕から卒業するんだ。 「僕は一人しか選ばない。だって、大好きなのは、お前だけなんだから。お前の気持ち、知ってたのにずっと言えなくて、ごめん」  泣きながら彼女は 「ほんとだよ。酷い! 私、君のこと大好きで大好きでしょうがなくて、辛かったんだよ?」 桜のように儚くて、切なくて、ずっと側にいなきゃいけないような、甘い使命感を感じさせる笑顔を浮かべた。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加