1人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
A「ほんとに、みんなありがとう」
私はこの教室に住んでいた。
何年か前。高校三年生の私は、交通事故で死んだ。成仏したくなくって現世をフラフラ。最終的に通っていた学校にやって来た。
もう何年? 生きてるみんなに混じって学校生活を送っていた。
B「卒業おめでとう」
文化祭の時期。暇を持て余して黒板に落書きする学生たち。人の絵にふざけて目から血涙を流させるなんて学生あるある。そのあるあるの餌食になった女の子の絵。その女の子がなんとなく私に似ている気がして近くで見たいと近づいた。その途端、周りが騒がしくなった。
A「絵、描いてくれてありがとう」
どんな魔法か、その絵の近くにいる時だけ私はちゃんと生きていた。
でも、そんな生活も今日で終わり。
B「じゃあね」
泣きながら黒板消しを持つクラスメイト。
私の証書は現世からの卒業証書。留年しすぎた私には丁度いいのかもしれないね。
最初のコメントを投稿しよう!