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そこにおいて、例外的に男性以上の地位を築いているシビュラ職は、少女シビュラに取っては魅力的な反面、そのストイックさが理解不能だった。
少女シビュラは田舎者の喋り方が好きだ。『おしとやかな』『高潔な』『神聖な』………そういったものがどうしても苦手で、相容れないことだと感じられた。
この頃の少女シビュラは葛藤ばかりで、考えと現実が食い違う。
そうなるのだったら『正しい発音』と『問題のない文法』だけを教えてくれれば、少女シビュラはそれだけで生きていくだろうに、何故か老女シビュラは『正しくない発音』と『正確には問題のある文法』も『大事な言葉の要素のひとつ』として教えていた。
それを好んで使おうとすれば怒るというのに。
………知らなければこんな葛藤もなかったのにさ。………
少女シビュラはそう怒りたくなるけれど、教えて貰えたのだから感謝はせねばならない。
軽薄で………どこか懐かしい気さえする………俗な言葉遣いが好きな自分を教えてくれたのは、他ならぬ、老女シビュラなのだから。
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