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-桜井陽介、あ、この人同じビルの人だ。会社の入ってるビルは多くのこまこました会社が入っている。その中でも私の就職した会社は中小の中の小、大企業の会社名はでかでかと乗っていたから、毎朝同じエレベーターに乗るのは気まずい空気を醸し出していた。
向こうからすればなんとも思わないことでも、私たち中小企業は肩身の狭い思いをしていた。同期の村内香奈枝が言っていた。(株)ノイズはこのビルの中でも一番大きな会社で一番イケメンがいる企業だと。
何をやってる会社かよくは知らなかったけどきっときっちりしたスーツ姿で会社に来ている姿を見ると今はやりのIT企業かなんだろうと思っていた。
2日入院して退院の朝、看護婦さんに「ちゃんとご飯食べなきゃだめよ」そう笑いながら言われ、お礼をして病室を後にした。
(あー、明日からまた仕事だ、たまっちゃったかな)そう心の中で思いならエレベーターで一階まで下りると会計をして、荷物をもって玄関先のタクシーに乗り込もうとした瞬間-(あ・・・・)見覚えのある姿が目に入った。
桜井さんだ。私の姿を見つけると、
にこっと微笑んで「会社の子に聞いたら今日退院するって聞いたから来てみたんだ、調子はどう?」あぁ、きっと退院日を教えたのは、村内香奈枝だなとすぐに分かった。
「あぁ、えっとあの時は本当に。。」話をしている私の手から入院していた時の荷物が入ったバックをすーっともって「堅苦しい挨拶は終わり、ランチにいかない?」そうかれはふっと笑うと、助手席のドアをさっと開いてくれた。
その光景があまりに紳士的なものだったから私は少しだけ照れてしまった。
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