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「どんな食べ物が好き?」
そう気さくに話しながらシートベルトをかける。
「そうですね。。。やっぱり・・」「アボガドはだめだよ」言葉をかぶしていきなりいうもんだからあまりに可笑しくて
「私アボガド好きじゃないですよ、なんでアボガドなんですか」緊張がほぐれ笑っていると、
「だって君女の子だから、女の子は何かとアボガドっていうでしょ?」そんな会話すらおかしくなって
「私和食が食べたいです、お魚にお味噌汁ついてるザ和食が食べたいです。」あまりに力んでいうもんだから彼はわかった、わかったと目を細めて笑っていた。
「味噌汁の具材は?」くすくす笑うもんだから
「桜井さん、そこは君はアボガドの味噌汁飲んだことあるのかい?って聞いてくださいよ」そんなたわいもない会話がおかしくて、心がほっとするような気がした。
「そこの左側の隠れ家みたいなところだよ」ふと桜井さんの左薬指に光る指輪が目に入った。(あぁ、結婚しているんだ)そう思っただけで、なんとも思わなかった。
―こんにちは―
大きな平屋のおうちの玄関を開けると、昔懐かしい木の匂いがするお店で、内装はおしゃれで、古風であぁすごい、目をキラキラしてみていると、着物を着た綺麗なお店の人が《あら、桜井さん今日は綺麗なお姉さん連れているんですね》そうお店の人が私を見て会釈しながら個室に通してくれた。
ランチでいい?私はメニューも見ずにこくんとうなずくと、上着をさっと持ち上げてハンガーにかけてくれた。
何をするのにもエスコートされていて、何故だか気持ちがいいものだった。
「奥さんは幸せですね、こんなに優しい桜井さんが旦那様で」にこっと笑うと、「そんなことないんだ、うまくいかないんだよね友達期間が長かったから女としては見てないんだ」少しだけばつの悪そうな笑顔で私をみる。
(あ、きいちゃまずかったかな)そう思うと、
《失礼します》ランチが運ばれてきた。
ほっと胸をなでおろすと目の前に並ぶ和食料理があまりにかわいくて、あまりにおいしそうでわぁっと声に出てしまった。
「よかった、そんなに喜んでもらえたなら、さぁさあ食べよう退院祝いだ」あはははと笑う笑顔があまりに素敵で胸の奥がずきんとした。
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