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「どうぞ、あ、タオルどうぞ」そう渡してくれる桜井さんを見れなくて頭からタオルをかぶった。
もう、嫌だなんでこんな結婚してる人好きになるんだろう、不倫なんてありえない、もうずっと恋愛してなかったからだ、もぉ明日飲み会セッティングしてもらおう、そんなくだらないこと考えてたらふと涙があふれて、頭にふわっとあったかいものを感じた。
桜井さんの手が私の頭をポンポンと触っている。
「ごめんなさい、私あの・・・」タオルを離すと、桜井さんの左手が私の右手をぎゅっと握った。
びっくりして運転をする姿をみてると
「もう、言い訳はしない。君が好きだったんだ、いや、君に恋をしてしまったんだ」
ドラマみたいな展開に驚きが隠せなくて、「君が公園のベンチでランチを食べるの前から知ってた。一度何か資料をみて泣いてる姿を見たんだ、悔しくて涙が止まらなかったんだろうねきっと、なのに同僚の人が話しかけてきた瞬間君は笑顔だったんだ、その笑顔があまりに寂しそうで、辛そうで、忘れられなかったんだ」私は内容なんかより、自分を前から知ってたことがびっくりして言葉が出なかった。
「一度、仕事でね失敗したことがあったんだ、自分のミスで何億の損失を出したことがあってね、あーもうおわったなとベンチでそら見てたんだよ、そしたら君がそんなに上向いて首痛くないですか?って覗き込んだのおぼえてないかな?」少し笑いながら話してくれて
「あ、思い出した、あのあっつい夏の始まりだ」
(鮮明に覚えていた、大企業の人が真青の空を見上げながら泣いていたから気になって声をかけたんだ)
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