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ふと表示を見てラインを開く。
《今日は楽しい時間をありがとう。今度ランチにでもまた行かないか?》
桜井さんのラインに心が躍っていた。それからくだらないラインをしていた。
《今度はおいしいハモ料理食べたいです》
《そこは、アボガド料理じゃないんだ》
《そんなにアボガド女子が好きですか》
《僕は、奈々ちゃんが好きだよ。》
さらっと文字にして現れた二文字の言葉に自分でもわかるくらい頬があったかくなった。
《もう。あ、桜井さんお家に着きましたか?》
《家の駐車場だよ、奈々ちゃんとどうしてももう少し話したくてね笑》
自分よりもしっかりしてて、大企業で働いてる大人な男性をただ単純にかわいいと思ってしまった。
《でも、奥様に気づかれてしまいますよ?寂しいですけど、お部屋に入ってください笑》
精一杯の言葉を打って、テーブルの上に携帯をおくと、
「滅多にならない奈々ちゃんの携帯が今日はよくなるね」
母は不思議そうな顔をして洗濯物をたたみながらこちらを見てくるから、とっさに「ほら、晴樹だよ」そう幼馴染の名前を出して嘘をついた、母にウソをついたのは人生で二度目だった。
一度目は、学生の頃父に会いたくて、父の会社の前に行って父と学校帰りにご飯を食べたこと、本当は家に帰ってきてほしいと話をしたけど、首を横に振られてしまったこと、帰りにバイト仲間とご飯を食べてきたと嘘をついた。
素直に言えばよかった話なんだろうけど、幼いなりに母に話したらいけないと、自分の気持ちをセーブしてウソをついた。
それから大人になって、まさか彼氏ができたよ、奥さんのいる人だよとは、言えなかった。
自分の部屋に戻って、今日の出来事を思い出してた。
手を握ったこと、車内で抱き合ったこと、キスをした感覚を、
少しだけ思い出して胸を躍らしていた。
その時だった、
ピピピピ・・・大きな音で携帯が鳴った。「
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