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去勢法。この法律が制定されて施行するまでかなりの倫理的な反対があったらしい。しかし…もうこれが普通だ。去勢は男性と女性の性感染症と、男性による女性を襲う行為を無くす事が出来た。同時に直接女性の肉体に負荷をかけないで、胎児出生までをサポートする温床機が整っていた。それに伴って出生に伴う病気も基本的に排除できるようになった。
だからそうやった整った環境で生まれた子を“完全”と呼び、俺みたいな温床機以外で生まれた人間は“不完全”という扱いを受けるということだ。
他のみんな自分がどうやって生まれるか気にならないだろうか?去勢法の制定までの口論を覚えていないのか、知らないのか?
『…去勢をしたら新たな命が生まれない?お前達は…自然界のけだものか!?そんなものが残っている事がまずけだものの象徴だ!』
去勢法の中で…こんな話をしているのが記憶に残っている。
俺達は…けだもの…なんだろうか?
歴史の勉強だってこうやって自然の災害や被害も多い。まるで…自然を危険と刷り込ませるような。俺は自分の閉まっているシルバーのケースを取り出して、2重の蓋を開ける。
そこには…一枚の緑色の葉が。茶色い枝もある。一枚の葉だ。
俺の宝物で…ある種歴史という自然に興味と疑問を抱かせてくれたものだ。
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