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ふと視線を感じて俺は宝物ケースを閉じた。
「おっ。また見ていたな…その何か。何だよ!そろそろその宝物を見せてくれよ。」
「良いだろう?何でも。紫燕!」
「け~、仕方ないの!」
俺が頑なにこれを見せないのは理由がある。
今の世界では“緑”という色は危険の色という象徴とされている。人間にとって作ることの出来ない、関わることない、そしてかつての自然と呼ばれた色だから。
記憶はわずかしかない。
でも…去勢法があったにも関わらず“不完全”な命を産み落とす方法を選んだ両親。そうして俺の記憶が確かなら…俺の傍には緑が有ったんだ。
そんなことを考えていると…テストの時間が始まった。
歴史の問題が終われば今度は数学だ。
数学は俺は苦手だ。
『設問1
人間を200人集めてある実験を行った。二つの選択肢A,Bを与え、Aを選ぶように誘導した結果、151人がAを選択した。このときこの誘導が、優位であったか応えなさい。』
こんな問題ばかりだ。この問題だって簡単だ。今の数学はプログラムを正しく入力すればいい。だけど…俺は打ち間違いも多くて。
まあ…そんな感じでテストを終えていく。
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