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部屋の木扉を開ける。すると、辺りはすっかり暗く、灰色混じりの紺碧に染まった空を仰ぐと雲の切れ間から月が少しだけ覗いていた。
男3人による戦略の話し合いは、ずいぶんかかっていたようだ。
……戦略というのか、あれは……?
「ふーむ、これはなかなか遅くなってしまったな。悠士、車で送るぞ」
「おや、秋成が僕を姫君みたいに扱うなんて。雪が降るんじゃないのかい」
「東宮時代と違うんだ、一応俺もおまえの身分くらい心得ている。送る」
「わー複雑な口説き文句だねえ。て、一緒に歩くのかい?」
「阿呆、車に決まっている。ただし2人乗りの車箱だから、小さく膝を抱えて乗れ。そして、曳くのは牛ではないがね」
「…………北斗が曳くのかい?」
視線を受け、私は燭台に火をつける手を止める。
「……曳かせたいんですか……」
できなくはない。できなくはないが、和泉の身体でやりたくない。筋肉痛にでもさせてしまったらかわいそうだ。
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