第1章

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「ごめんね」 ずっとずっと心のどこかで期待していた言葉が…聞こえた。 「…謝って、くれるの…?」 思わず、音がするほどに、首席卒業の証書が入った筒を握りしめる。 「うん。…1年経って今、やっとわかった。ごめんね…ごめんね、私何をしてたんだろう」 そういうあの子の瞳は、伏せられている。 受けた無視。嫌がらせ。私は、ずっとずっとあなたのことを憎んできた。何度も本気で、しねと呪って、それでも、 「わかってくれたんだね」 そう思ったら、許せなかった気持ちが、…どこかへ溶けてしまった。 あなたはまだ、私の中のどこかで、親友だった。 成績を競う、最高のライバルだった。 高2の総合試験でとった満点をズルにされた、あの日のあとでさえも… 「よかった…」 やっと友達に戻れた。 1年ぶりに笑いあった。視界が滲んだ。…もう、離れない。 「最後にトラウマ作戦! 式後!」 その黒板の文字に、彼女は背を向けていた。
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