0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ごめんね」
ずっとずっと心のどこかで期待していた言葉が…聞こえた。
「…謝って、くれるの…?」
思わず、音がするほどに、首席卒業の証書が入った筒を握りしめる。
「うん。…1年経って今、やっとわかった。ごめんね…ごめんね、私何をしてたんだろう」
そういうあの子の瞳は、伏せられている。
受けた無視。嫌がらせ。私は、ずっとずっとあなたのことを憎んできた。何度も本気で、しねと呪って、それでも、
「わかってくれたんだね」
そう思ったら、許せなかった気持ちが、…どこかへ溶けてしまった。
あなたはまだ、私の中のどこかで、親友だった。
成績を競う、最高のライバルだった。
高2の総合試験でとった満点をズルにされた、あの日のあとでさえも…
「よかった…」
やっと友達に戻れた。
1年ぶりに笑いあった。視界が滲んだ。…もう、離れない。
「最後にトラウマ作戦! 式後!」
その黒板の文字に、彼女は背を向けていた。
最初のコメントを投稿しよう!