美しい神様2

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『雪也、お前のお陰で俺の命は救われた、ありがとう』 『誰にやられたんだ』 少し力が戻った雪也は目を開け桜を見た。 『雷光にやられた』 『雷光に…』 『蓮は雷光の所にいる』 『蓮さんがどうして』 『俺が目を離したすきに雷太が蓮を連れ去ったんだ…助けに行かないと』 痛む腹の傷を我慢しながら立ち上がる桜にアヤメは身体を支えながら『今は安静にしないと』と言った。 『アヤメの言う通りだ、蓮さんのことは俺とアヤメに任せてくれ』 雪也はゆっくりと立ち上がった。 『雪也、蓮のこと頼む』 『任せてくれ、必ずお前の元に蓮さんを連れて帰るから…行くぞアヤメ』 『はい』 アヤメは桜から離れ雪也に近づいた。 雪也は雷太の気を探り見つけるとアヤメを連れてその場から消えていった。 『頼んだぞ…』 桜は腹の傷をおさえながらベットに仰向けで倒れると眠りについた。 その頃、蓮は雷光の部屋で桜の死を聞かされ悲しんでいた。 『どうして桜を…』 『桜とお前は釣り合わない』 雷光は蓮を引き寄せ唇にキスをした。 蓮は雷光の身体を突き飛ばし涙を流しながら『あなたを許さない』と叫んだ。 その頃、雪也とアヤメは誰もいない部屋の中に侵入していた。 アヤメはゆっくりとドアを開き誰もいないか廊下を確認した。 『大丈夫です、誰もいません』 先にアヤメが廊下に出ると続けて雪也が出た。 『別々で蓮さんを探してもいいが、アヤメは蓮さんの顔を知らないからな…どうするか…』 『蓮さんに会えばわかりますから、別々で探しましょう』 『わかった、何かあったら知らせろよ』 『はい』 アヤメと雪也は別行動で蓮を探し始めた。 ー雷光の部屋ー 『お客が来たようだな』 雷光は蓮をベットに仰向けで倒し逃げないように両足と両手首に紐で縛った。 『外してください』 蓮はもがいた。 『用事を済ませたら、すぐに戻るからおとなしく待っていなさい』 雷光はテープで喋る蓮の口を塞ぎ部屋から出て行った。 蓮はおとなしくなり小窓から見える空を見つめた。 廊下を歩きながら雷光は神達に『侵入者が現れたただちに捕まえろ』と命令した。 雪也は物陰に隠れながら『騒がしいな、もしかしてばれたのか』と言って廊下を見た。 その時、雪也は雷光の姿を見かけ物陰から離れると声をかけた。
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