美しい神様2

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それから暫くしてドアのノック音がした。 『どうぞ…』 『話は終わったか』 『雷太か、何だ』 『今からアヤメに気持ちを伝えてくるよ』 『本気なのか』 『あぁ』 雷太は部屋を出て行った。 ー神の海ー 『気分転換してこいって桜にここを教えてもらって来たけど…来てよかった…』 綺麗な海に癒されると蓮は砂浜に仰向けで倒れた。 『何だか眠く…』 蓮は目を閉じ眠りについた。 その時、黒の巫女服姿の雷光が現れ砂浜を歩き蓮に近づいた。 雷光は蓮の隣に座り海を見つめた。 『久しぶりだな』 『うう…ん…』 声に築き目を覚まし身体を起こした蓮は雷光に驚いた。 『どうしてここに』 蓮は立ち上がった。 『悩みごとがあるとよく来ていた』 『悩みごとがあるんですか』 『警戒しなくても、何もしないよ』 雷光は優しく微笑みながら海を見つめた。 『……』 蓮は雷光の隣に座り雷光の手に触れた。 雷光は驚き蓮に目を向けた。 『……』 『悩みがあるなら聞きますよ』 『こんなところを桜が見たら怒るぞ』 『桜、向日葵さん、紅葉さん、シーズンさん、そしてあなた達、兄弟…昔は仲が良かったんじゃなかったんですか…』 『そうだな…桜、向日葵、紅葉、そして俺、新人の神だった頃、俺達は仲がよかった…1人の男を奪い合うまでは…』 『陽希さん』 『俺は2回、陽希を殺し、シーズンも殺した』 悲しげな顔で立ち上がると雷光は砂浜を歩き始めた。 蓮は雷光に駆け寄り手首を掴むと足を止めた。 『まだ、何かあるのか』 『昔に戻りたいんじゃないですか、だから懐かしんでここに来た…シーズンさんを死なせてしまったその時から苦しんでた…』 『普通の人間が…わかったような…』 雷光は一瞬、蓮の顔が陽希とシーズンの顔に変わり驚いた。 『何をしてるんだ』 険しい顔の桜が現れ蓮と雷光に近づいた。 『桜…』 『……』 雷光は蓮の手を離れさせ背を向けると砂浜を歩き始めた。 『蓮、大丈夫か』 桜は蓮の身体に触れた。 『桜、彼を許すことできないかな』 『何を言ってんだ、許すことなんて出来るわけないだろ』 『桜が怒るのもわかる、わかるけど彼は陽希さんとシーズンさんを殺したことに後悔してる』 『……』 桜は無言のまま蓮に背を向けた。
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