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『夢だったのか、いや違う、あれは夢じゃない…シーズンに抱き締められた感触が残ってる…俺は気を失うまで陽希とシーズンとここで話をした』
雷光は行き交う神達を見ながら口にした。
その後、雷光は自分の部屋に戻っていった。
椅子に座って待っていた彩佳はムッとした顔で雷光に近づいた。
『遅かったじゃない、何をしてたの』
『…ゴメン…』
『雷太から聞かなかったの』
『雷太から聞いたよ、考え事をしてたんだ…ゴメン』
雷光はテーブルに近づき椅子に座った。
『考え事って何?』
彩佳はテーブルに近づき向かい合って椅子に座った。
『彩佳…』
『何?』
彩佳は食事をしながら返事をした。
『桜、向日葵、紅葉、シーズン、そして俺、昔は仲がよかった、それが1人の男をめぐって崩れていった…』
雷光は陽希が死んだ本当の理由を彩佳に語り始めた。
『それが本当なら何で雷光が恨まれるわけ…雷光も何で本当のこと言わないの』
彩佳は椅子から立ち上がった。
『彩佳、落ち着け』
『だって桜達や雪也は本当のことを知らずに雷光のことを恨んでるんでしょ…悔しいしよ…』
彩佳の目から涙が流れた。
雷光は椅子から立ち上がり彩佳に近づくと彩佳の手首を掴み引き寄せ抱き締めた。
『雷光…』
『本当は俺、シーズンを殺したくなかった…どうかしてたんだ俺…彩佳、昔に戻れるなら戻りたいよ』
『雷光…』
彩佳は両手をまわし雷光を抱き締めた。
雷光の部屋の前で話を聞いていた雷太は真実を知り驚いた。
『陽希さんが死んだのは兄貴を庇って…雪也達は知らずに兄貴を恨んだ…真実を言わないと』
雷太は部屋から離れ雪也達のところに向かった。
その頃、桜と向日葵と紅葉と雪也と蓮は3対2で向かい合って椅子に座り無言の食事をしていた。
それから暫くして『ごちそうさまでした…』と言って蓮が椅子から立ち上がった。
その時、雷太が現れた。
『お前らに話があるんだ』
『話しなんてない、帰れ』
雪也が言った。
『雪也達は雷光を誤解してる、陽希さんが死んだのは雷光を庇って死んだんだ』
『……』
雪也は椅子から立ち上がり雷太に近づいた。
『兄貴』
『陽希が雷光を庇って死んだ、嘘を言うな』
雪也は雷太の胸ぐらを掴みながら言った。
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