美しい神様2

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『嘘じゃない、雷光が彩佳に話しているのを聞いたんだ』 『なら何で自分が陽希を死なせたと言ったんだ』 『兄貴達が決めつけたから雷光兄貴は…』 『……』 雪也は雷太の胸ぐらを掴んでいる手を離し雷太に背を向けた。 蓮が雪也に近づいて話しかけようとしたその時、蓮の身体に陽希の魂が入った。 『…え!…』 『蓮さん?』 『蓮!』 桜は蓮に近づき身体に触れた。 『桜…』 『陽希なのか…』 『え!』 桜の言葉に雪也は驚いた。 『蓮さんの身体には被害はないから安心して』 『陽希、雷太が言ったこと本当なのか、雷光を庇って死んだって』 雪也が問いかけた。 『たぶんだけど、雷光に矢を放ったのはアヤメだった』 『え!』 陽希の言葉に桜と雪也と向日葵と紅葉と雷太は驚いた。 『嘘だろ』 『アヤメに聞いたら』 『雷光は…』 『雷光は矢を持った姿を桜達に見られせめられたから…悪者になったんだと思う…』 陽希はうつ向く雪也の手に触れ顔をあげさせた。 『陽希…』 『雪也、雷光は悪くない、だから昔のように仲よくなって…』 『陽希…』 言いかけた雪也は陽希に唇を奪われた。 暫くして陽希は蓮の身体から離れ消えていった。 『……』 蓮は雪也に向かって倒れかかり雪也は蓮の身体を支えた。 『陽希?』 『陽希はもういない』 桜は蓮の身体に触れながら言った。 『蓮さんを部屋に運んだら』 『そうだな』 桜は蓮を抱きかかえたままその場を離れ部屋に向かった。 『兄貴』 『雷太、雷光に明日、ここに来いと伝えろ』 雪也は部屋を出て行った。 『……』 雷太は向日葵に目を向けた。 『何だ?』 『アヤメさんに会いたいんですが、どこにいるか知っていますか?』 『アヤメは…』 『アヤメならお墓にいるんじゃないかな』 紅葉が口を開いた。 『わかりました』 向日葵と紅葉に頭を下げると部屋を出て行った。 ー陽希のお墓ー アヤメは手を合わせ目を閉じた。 『俺のせいだよな、兄貴が死んだのは…俺は雷光をせめた…』 『アヤメ』 『……』 目を開けたアヤメは目の前で立っている陽希に驚いた。 『兄貴…』 『どうして雷光に向かって矢を放ったんだ』『殺そうと思って矢を放った訳じゃない、兄貴に近づくなっていう威嚇だった…兄貴が死ぬなんて…』 アヤメは地面に膝をつき涙を流した。
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