美しい神様2

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『雪也、俺の声が聞こえたら喫茶店に来てくれ』 それから暫くして雪也が雷太の前に現れた。 『何か用か』 『シーズン様から連絡が来たんだ、雷太が戻ってきたって』 『それで俺がここにいるってよくわかったな』 『お前の気を探ればすぐわかる』 『……』 椅子から立ち上がり出入り口に行った雷太は喫茶店を雪也と共に出て行った。 『雷太』 雪也は雷太の腕を掴み振り向かせた。 『何だよ』 『佐藤蓮さんに会ってないだろうな』 『会ったよ、彼が働く花屋で薔薇を買ったんだ、雪也にやるよ』 雷太は薔薇を雪也に渡し背を向けた。 『何を企んでるんだ』 『別に…』 背を向けたまま雪也に手を振ると雷太は歩き始めた。 雪也は歩いていく雷太を見つめながら『嫌な予感がする』と言って雪也はその場から離れていった。 その頃、蓮は時々やって来る客を接客していた。 『ありがとうございました』 『佐藤君、もうすぐ昼だから先に食事を済ませたら』 『はい…』 蓮は桜井店長にあとを任せ食事に出掛けていった。 それから暫くして薔薇を持って店に雪也が現れた。 『すみません』 雪也は入り口から声をかけた。 『はい…』 奥から桜井店長が出てきた。 『佐藤蓮さんは居ますでしょうか?』 『佐藤君は今、食事に出掛けてるんですけど、携帯にかけて呼び戻しましょうか?』 『また来ます』 雪也は薔薇を持ったまま店を離れていった。 それから30分後、蓮が店に戻ってきた。 『戻りました』 『佐藤君、さっき男性が訪ねてきたわよ』 『俺に?』 『また来ますって言ってたけど』 『そうですか…』 『じゃあ、あと宜しくね』 桜井店長は出掛けていった。 蓮はバケツの中に入っているいろいろな乱れた花を整え始めた。 『……』 『すみません』 『はい』 入り口に行った蓮は雪也に驚いた。 『雪也さん、どうしてここに』 『君に話があってきたんだ』 『話?』 『今、いいかな?』 『仕事が終わってからならいいですけど』 『わかった、仕事が終わったら前の喫茶店に来てくれ』 『わかりました』 蓮は店を離れていく雪也を見つめた。 その後、蓮は閉店の午後6時まで働いた。 『お疲れさまでした』 蓮は店を出て前の喫茶店に行き中に入った。
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