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『俺の前で陽希が死んだのは事実だ、やっぱり俺は…』
『陽希はアヤメから放たれた矢を…』
『アヤメって…何であいつが』
『本人に聞いてみたら』
桜はその場を離れていった。
雷光は海を離れ神の家に向かった。
その頃、アヤメはベットで隣で寝ている雷太を見つめていた。
『こんな関係になるなんて…』
アヤメは身体を起こしベットからおりると全裸から白い巫女服に着替え始めた。
『雷太さんのお兄さんと桜さん達の仲が悪くなったのは俺のせいだ、ちゃんと真実を話して謝らないと』
緊張を整えるとアヤメは部屋を出て行った。
それから暫くしてアヤメは庭のベンチに座っている雷光に目を向けた。
『……』
アヤメは庭に行き雷光に近づいた。
気配を感じた雷光は隣を向きアヤメを見た。
『……』
『隣、座ってもいいですか?』
『どうぞ』
『……』
アヤメは雷光の隣に座った。
『陽希のことなんだが…』
『ゴメンなさい…兄貴が死んだのは俺が放った矢のせいなんです…ゴメンなさい』
アヤメは雷光に頭を下げながら言った。
『どうして矢を放ったんだ?』
『殺そうと思って矢を放ったんじゃないんです、あなたから兄貴を離したくて…脅すつもりで矢を放ったんです、兄貴が死ぬなんて…あなたが皆に恨まれるなんて、ゴメンなさい…ゴメンなさい』
アヤメはうつ向いたまま涙を流しながら何度も謝った。
真実を知って少しは楽になった雷光はアヤメの肩に触れ顔をあげさせ『俺のせいで陽希が死んだんじゃないとわかってよかった…それと何度も謝らないでいいから』と言って雷光は手でアヤメの涙を拭った。
『許してくれるんですか』
『憎むことにもう疲れたんだ、だから…』
『雷光さん…』
『何もかも忘れて、雷太と幸せになりなさい』
『え!…どうして…』
『君の身体から雷太の気を感じたんだ、それに雷太から聞いてたからな好きな人ができたって…関係をもったんだろ』
『……はい…』
アヤメは頬を赤らめながら言った。
『雷太のこと宜しくな』
アヤメに微笑むと雷光はベンチから立ち上がり庭を離れていった。
『真実を雷光さんに話せて楽になった』
微笑むアヤメに背後から雷太が声をかけた。
『アヤメさん』
『……』
振り返ったアヤメは何も言わず雷太に抱きついた。
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