美しい神様2

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『何でお前がムカついているんだ、もしかして惚れてるのか』 『仲間だから俺は桜と蓮さんを守る』 『変わったな、昔のお前だったら仲間を大切にするやつではなかった』 『蓮さんに出会って俺は変わった、お前が憎いのは俺だろ…お前から彩佳を奪った俺だろ、蓮さんに構うな』 『蓮に構うなと言われても困るな、本気で狙ってるから』 『義巳…』 『じゃあな』 義巳は雷光に手を振りその場から消えていった。 剣をしまい振り返った雷光は目の前に立っている彩佳に目を向けた。 『彩佳…蓮さんと桜は?』 『桜は雷太が見てる、蓮さんは雪也が見てる』 『そうか…』 『雷光…』 彩佳は雷光の手に触れながら顔を見つめた。 その頃、蓮は庭のベンチに座ってうつ向きながら泣いていた。 『……』 雪也は悲しげな顔で泣いている蓮の後ろ姿を見つめた。 それから暫くして蓮は手で涙を拭いベンチから立ち上がると振り返り雪也と目があった。 『…雪也さん…』 『ちょっと俺に付き合ってくれないかな』 『……』 雪也に手首を掴まれ歩き始めた蓮は雪也と共に森に向かった。 ー癒しの森ー 『雪也さん…』 『ここは癒しの森っていうんだ』 雪也は蓮の手首から手を離した。 『癒しの森…』蓮はまわりを見渡しながらラベンダーを見つめた。 『いい匂いだろ、嫌なことがあると皆、ここに来て癒されるんだ』 『本当、いい匂い』 蓮は地面に仰向けで倒れ目を閉じた。 雪也は蓮に築かれないように森を出ていき桜の元に向かった。 その頃、桜は雷太と一緒に蓮を探していた。 『蓮はどこに行ったんだ』 『雪也がついてるから心配いらないと思うけど』 『雪也が…』 『桜』 雪也は廊下で立っている桜に近づいた。 『雪也、蓮はどこにいるんだ』 『癒しの森にいる、行ってやれ』 『……』 桜は雪也から離れ癒しの森に急いで向かった。 その頃、蓮は地面に仰向けで倒れたまま空を眺めていた。 『綺麗な空…』 『蓮……蓮……』 『……』 名前を呼ばれ身体を起こした蓮は息を切らしながら走ってくる桜に目を向けた。 『桜…』 蓮は立ち上がり桜を見た。 『はぁ…はぁ…はぁ…』 息を整えると桜は蓮を引き寄せ抱き締めた。
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