美しい神様2

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『痛みをおさえる薬を塗るわね』 彩佳は緑色の塗り薬を手につけ桜の背中に優しく塗り始めた。 桜は傷が染み我慢をした。 『染みる?』 『少しな』 『……』 塗り薬を傷に塗り終えると包帯を巻いた。 『いいわよ』 『ありがとう』 桜は巫女服を着て彩佳の方に向いた。 『塗り薬を塗ったから痛みはよくなるはずよ』 『あぁ…ありがとう…』 ベットから桜がおりると雷光達が蓮を連れて戻ってきた。 『蓮!』 桜は蓮に駆け寄り抱き締めた。 『桜…』 『無事に帰ってきてくれて、よかった』 『…桜…心配かけてゴメン…』 蓮は桜の背中に両腕をまわし抱き締めた。 『……』 義巳は無言のまま抱き締め合う蓮と桜をじっと見つめた。 雷光と雪也は義巳を連れて部屋を出ると庭に向かった。 『何ですか、こんなところに連れてきて』 『2人の邪魔だからここに来たんだ』 『君に話もあったし』 『何ですか?』 『座ったら』 雷光はベンチに座った。 『……』 義巳も雷光の隣でベンチに座った。 『もしかして義巳さん、蓮さんに惚れてる?…間違いだったらゴメン…』 『……』 雷光の問いに義巳は無言になった。 それから暫くして義巳が口を開いた。 『蓮実の連絡を受け家に行ったんです…一目惚れでした…俺には蓮実がいるのに』 『諦めろ、蓮さんには桜がいる』 『別れたんでしょ』 『別れたと言っても本気じゃない』 『……』 義巳がベンチから立ち上がったその時、蓮が現れた。 『こんなところにいたんだ』 『蓮さん、桜さんは?』 『眠ってる、雷光さんにお願いがあります』 『何でしょうか?』 『桜が眠っているうちに俺と義巳さんを桜公園に送ってください…雪也さん、義巳さんを森に連れていってください』 『わかった』 雪也は義巳を連れて森に向かった。 雷光は蓮の両肩を掴みながら『なぜ桜の側から離れようとする、あんなに愛し合っていたのに』と言った。 『桜に伝えといてください、汚れていない人を選びその人を主にしてと…』 『蓮さん…』 『行きましょう』 蓮と雷光は森に向かった。 ー神の森ー 『雷光さん、お願いします』 蓮は義巳の手を掴みながら雷光を見た。 『……』 雷光は両手を蓮と義巳に向け念じると蓮と義巳は光に包まれながら消えていった。
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