美しい神様2

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『病院からですか?』 『はい、戻れと』 義巳と蓮は玄関に行った。 義巳は靴をはき蓮を見つめた。 『行ってらしゃい』 『行ってきます』 蓮の唇にキスをすると義巳は出掛けていった。 蓮は玄関を離れダイニングに行った。 『はぁ…』 バスローブ姿のまま蓮はソファーに座りため息をついた。 その頃、桜は部屋に閉じ籠っていた。 『蓮さんに言って来てもらいましょ』 『言っても蓮さんは来ないよ』 『そんなの言ってみないとわからないでしょ』 『そうだな、彩佳の言う通りだ…俺が行くよ』 『俺も行くよ』 雪也は雷光と共にその場から消えた。 『桜…どうしてるかな…』 蓮が口にしたその時、雷光と雪也が目の前に現れた。 『雷光さん、雪也さん』 蓮はソファーから立ち上がった。 『危険な目にあっていないか』 『…はい…』 『1つ聞いていいか』 『何でしょうか?』 蓮は雪也に目を向けた。 『誰かとセックスをしたか』 『……』 雪也の言葉に蓮は無言のままうつ向いた。 『反論しないということは図星か』 『……』 『本当なのか』 雷光は蓮の身体に触れながら顔を見つめた。 『はい、義巳さんとセックスをしました』 蓮は涙を流しながら雷光を見た。 『蓮さん…』 雷光は蓮の身体から手を離した。 『義巳って、蓮さんと一緒にいたあいつか?』 『はい』 蓮はソファーに座った。 『雪也、帰るぞ』 『兄貴、言わなくていいのか』 『言っても無駄だ、行くぞ』 雷光はその場から消えた。 『桜に何かあったんですか』 『蓮さんが帰ってから桜は部屋にとじ込もって飯も食わないし誰とも会おうとしない』 雪也はその場から消えた。 『…桜…』 蓮は悲しげな顔をしながら桜を心配した。 それから暫くして蓮はソファーから立ち上がり寝室に行った。 そして蓮はバスローブを脱ぎタンスの中から巫女服を取り出すと着替え始めた。 『ただいま』 病院から義巳が帰ってきた。 『おかえり…』 『どこかに行くんですか?』 『…すぐに戻りますから、心配しないでください』 義巳の側を通ると蓮は義巳に手首を掴まれた。 『桜さんに会いに行くんですか』 『……』 『俺と付き合っているのに、どうして別れた男に会いに行くんですか』 義巳は蓮の手首を掴んだまま怒った口調で言った。
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