美しい神様2

63/63
前へ
/63ページ
次へ
桜は無言のまま小屋に戻っていった。 『……』 『桜!』 小屋の前で巫女服姿の蓮が声をかけた。 『蓮、起きたのか』 桜は蓮に近づいた。 『何かあったのか』 『何で?』 『悲しい顔をしてるから、何かあったのかなと…』 『……』 桜が小屋の中に入ると蓮も入った。 『桜?』 『さっき雷光が来て話をしたんだ』 『それで』 『俺と蓮がいなくても大丈夫だから東京に帰ろって』 『雷光さんが言ったのか』 『あぁ…皆、賛成だって』 『……』 蓮と桜は無言になった。 それから暫くして桜が口を開いた。 『皆、蓮には助けられたから幸せに暮らしてもらいたいんだろ、だから東京に帰れって…どうする?』 『どうするって』 蓮は桜に背を向け悲しげな顔になった。 桜は背後から蓮を抱き締め『俺は東京の家に帰ってお前と暮らしたい』と言った。 『…俺も東京の家で桜と暮らしたい…』 『明日、皆に別れを言って帰ろう』 『うん…』 蓮は涙を流した。 『泣くな、永遠に会えない訳じゃないんだ』 桜はギュッと泣き止むまで蓮を抱き締めた。 ー別れの日ー 蓮と桜は雷光と彩佳と雪也と雷太とアヤメと義巳と神の義巳と陸に見送られながら東京に帰っていった。 そして蓮と桜は桜公園に姿を現した。 『この桜の木を見るといろいろなことを思い出すよ』 『そうだな…別れもあったし』 『今はラブラブだろ』 『そうだな』 桜と蓮は手を絡ませながら繋いだ。 『これからはこの国を守っていかないとな』 『そうだな』 『だって俺達は神様だから』 同時に言うと蓮と桜は手を繋いだまま歩いていった。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加