第1章

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賑やかだった教室も静かになる。 全員を送り出し、俺は一人になった教室で煙草を吹かしていた。喫煙所で吸えだとか不謹慎だと言うもんじゃない。全く年甲斐も無く俺は彼奴らと別れて寂しいと思ってしまっているらしい。 「だからそんな睨むなよ委員長。今日くらい良いじゃねぇの。折角の門出なんだぜ?」 「それでも見過ごせませんね。神聖なる教室で喫煙は。」 コイツとの関係も此処までだ。 このクラスの委員長。絵に描いたような生真面目な女。教師らしからぬ俺と度々衝突もあった相手。美人だが可愛くない。家事が得意。将来は親と同じで医者。家が近い。コイツの事は大体知っている。向こうも俺の事は大体知っている。何せ気が付いたら顔付合わせれば言い合ってたしな。 「何お前、泣いてんの?」 振り向いて涙に濡れた顔を見てやる。 「泣いてません…副流煙が目に染みてるだけです…」 …窓は開いていて、強めの春風が吹いていた。
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