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梓は咎めるように僕のむき出しの傷口を睨んだ。
「……あいつが、待ってる」
「保、あのバイク事故、わざと起こしたんでしょ?」
僕はその場に固まったまま、目を見開いた。
「高校時代からずっと椎菜と保を見てきたんだよ。他の人にはわかんなくても、私にはわかる」
梓はごそごそと自分のバッグの中に手を入れ、何かと取り出すと、微動だにしない僕に、そっと差し出した。
「これは……」
「椎菜から預かってた手紙だよ。保が自暴自棄になることがもしあったら渡してほしい、って言われてた」
濃紺の封筒には銀の細かい粒がまんべんなく散っている。
たぶんスターダストをイメージしたものなんだろうけれど、僕にはそれはダイヤモンドダストに見えた。
対になっている便箋をその中から引っ張り出す。
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