第1章

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 人はいつか死ぬ。 若くても年老いていても、その日はいつ訪れるか実のところわからない。  こんな簡単なことを教えてくれたのが椎菜、君だったことを哀しく思うよ。 とてもとても哀しく思う。 「さよなら椎菜」  妥当なところで五十年後か六十年後、もしかしたら明日。 ずっと待っているから、と言ってくれた君の所に僕が行くその日まで。  願わくば、その時、君が知らないこの世の進化や出来事の話をたくさん土産に持っていけたらいいな。  僕に幸せな五年間をありがとう。  病室から見上げた空は、椎菜がいた頃と同じように抜けるようなまぶしい青に輝いていた。   Fin.                   
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