第1章

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まず、見慣れない真っ白の天井が目に飛び込んできたことで、自分が仰向けの状態でそれを見上げているんだと気がついた。 ここはもう天国か?  ここに椎菜(しいな)がいるんだろうか。  ゆっくりと首を左にめぐらすと、分厚く包帯を巻かれた自分の手首に徐々に焦点があっていく。 「なんだ……失敗か。俺、死ねなかったんだ」  僕はゆっくりとベッドの上に起き上がった。 白いシーツ。白い壁。白い包帯を巻いた手首。 すべてが白く、ほのかに消毒液の匂いがする。 病院の個室か?  それにしても、ここまで真っ白ずくめだと、希望通りちゃんと天国にこられたのかと期待をさせるじゃないか。
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