第1章

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 二人で見たダイヤモンドダストは、この世のものとは思えないほど美しかった。 きらきらきらきらと、頬を切り裂くような澄んだ空気の中、輝きながら舞い散る氷の粒たち。  僕の隣でそれを眺めていた椎菜のほうを盗み見る。 椎菜が、綺麗だった。 触れれば壊れそうなほど、それこそこの世のものとは思えないほど美しくて、儚くて、僕は胸が張り裂けそうになったのだ。  そして、そのダイヤモンドダストを二人で見た帰り道、僕はバイクで事故を起こした。 バックシートから放り出された椎菜を助け起こす。 倒れて起き上がる力もない椎菜に比べて、僕はかすり傷ひとつおっちゃいなかった。 「椎菜! 椎菜! 椎菜!!」  すでに唇は紫色になり、頬に血の気もなかった。 「保……」 「なんだっ?」  聞き取れないほどの声で僕の名を呼ぶ彼女の口元に、自分の耳を持っていった。
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