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私たちは話し合った。
あの子はもう大きい。もう子どもじゃない。
きっと大人になったのだと。
私たちはもう年寄りになっていた。
年寄りの私たちと暮らすよりも一人の道、もしくは他の誰かと暮らした方が幸せなのかもしれない。
自分の幸せのために出て行ったのだと。
そう思うことにした。
そう思う一方で、いつか帰って来てくれるのではないかという想いも捨てきれなかった。
特に女房はその想いが強いようだった。
「ずっと待ってるから」
そう言って女房は毎日、あの子の好物を用意していた。
そうだよ。お前にとっての家はココだよ。
いつでも戻っておいで。
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