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俺の視線は足元のそれに注がれ、無意識にそれを拾っていた。
“魔境村”……。
その正体は、昔やったテレビゲームのカセットだった。
懐かしいな。確かコレ、小学生の時に買ってあまりに難しくてすぐに押し入れにしまったんだったっけ。
あの頃は良かったな。受験やら進路やらに悩まされず好きな事をのびのびとやれ、困難な事に直面したとしてもこうして見えない所に放り投げればすんでいたんだもんな。
だが今の俺は放り投げる事も逃げる事もできない。受験戦争という困難に立ち向かわなきゃならないんだ。
でも責めて、あの悪夢だけからは逃れたいな……。
そんな事を考えながらカセットを再び押し入れの中に眠らせようとした時、ふとカセットの表面に描かれているゲームのイメージイラストに目が留まる。その小さな世界には銀の鎧を纏った髭のナイトと、赤い悪魔。そして--
……純白のドレスを着た王女がいた。
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