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……つもりだったが、俺が持っていたのはカセットと一緒に押し入れの奥に封印していた白と赤のツートンカラーのゲームハードだった。
そのまま俺は誰かに操られているかのようにハードから伸びる配線をコンセントとテレビに繋いでいく。
もうすぐ受験が近い浪人生が昔のゲームを引っ張り出して遊ぶなんて。母さんが知ったら確実にカミナリが落ちるだろうな。
ま、たまには気分転換も必要さ。散歩したり風呂に入るのと一緒。少しくらいやっても馬鹿になるわけでも無い。
心の中で自分に言い聞かせながら俺はカセットを手にした。
差し込む前にカートリッジ部分にフッと一息。本当は逆に唾で汚れるんだが何故かやってしまうんだよな。
カチャンと心地好い音を立て、カセットがハードに収まり準備完了。
後はスイッチを入れればいいだけだが……。ずっとしまいっぱなしだったから点くかどうかが問題だ。
俺は親指を伸ばし、スイッチを上へスライドさせた。次の瞬間、モニターに“魔境村”とタイトルが現れ、おどろおどろしい音楽が流れた。
同時に俺の中に眠っていた記憶が、一気に呼び起こされる。
懐かしい。童心に返ったようだ。と言っても10年前だけど。
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