11人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
暴力 #2
それから1時間して凌が戻ってきた。
「…ただいま」
凌は気まずそうに靴を脱ぎ捨てると私の側へと寄ってくる。
怖い…
そう思い目を逸らしたが凌の目はいつもと変わらず優しかった。
さっきまでの目つきとは違い、この1時間でいつもの凌に戻っていたのだ。
「お…おかえり…」
恐る恐る顔を上げ凌を見つめる。
すると…
「ごめん!今日、仕事で嫌な事があって…その上お前にあんな事言われたから、どうしても苛立ちが抑えられなかったんだ…痛かったよな?本当にごめん。」
小さく頭を下げて凌は謝った。
凌…。
「ううん。大丈夫。
痛かったけど私こそごめんね。
さっ!ご飯食べよ!お腹空いちゃったぁ!もう冷めちゃってるけど今日は頑張って作ったんだから!」
凌をダイニングテーブルへと座らせ私は冷めきった料理を温め直した。
私がいけなかったんだよ。
私があんな言い方したから…
私が悪かったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!