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全ての荷物をまとめると少し部屋がガランとした。
よし…
「終わったか?」
「うん!」
もうここへ来ることさえないんだな…
最後に…
「凌、携帯貸して!」
私は手を差し出した。
長い間の家事でボロボロになった手は私が頑張ってきた証拠。
きっとこれからはまた綺麗な手に戻っていく。
「いやだ!お前、女の番号消すつもりだろ?」
そんな面倒な事はしない。
「私の番号消すだけ」
そんな訳ないけどね。
「面倒くせぇやつだな!今から消すからよく見とけよ」
凌は携帯を取り出すと私の目の前でメモリーを開いた。
今だ!
私は凌の腕を掴みそのまま携帯をへし折った。
携帯は意図も簡単に呆気ない音を立てて使い物にならなくなる。
「おまっ!ありえんだろ!」
「だって私の番号消すの面倒くさいんでしょ?」
悪戯っぽく笑えば、凌は【やられた】と言うように頭をボリボリ掻きながら笑った。
「じゃっ帰るわ!」
ヒラヒラっと手を振り私は重たい荷物を持つとアパートを後にした。
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