9人が本棚に入れています
本棚に追加
と、わたしは小さくなって返す。
「なんでもいいから」
「なんでも……?」
「うん、なんでも!」
ますますわたしは追いつめられた気になった。どんなことでもいいからシャーロットにお願い事をしなければいけない。でも、どれほど頭をひねってもそんなものがでてきそうになかった。シャーロットが負担にならないという条件を付け足すとますます難しい問題だった。
わたしは原点に振り返って、それとなくシャーロットのことを考える。まだ出会ってまもないというぐらいの浅い付き合いなのかもしれなかったけど、この時すでに、わたしのシャーロットを思う気持ちは本物になっていた。これは他にわたしに友達がいなかったせいでもあるだろう。
それも、ただの好きじゃなかった。これだけは譲れないというぐらいの強いものを持っていた。彼女という子は、少しやんちゃで、向こうみずなところがあるにせよ、基本的にわたしを困らせるような子ではない。わたしはそのことだけは確信していたから、彼女のためなら、あるいはどんなことだってできた。
「あのね、一つだけ思いついた」
わたしは思いついた勢いのままに、切り出した。
「なに?」
と、シャーロットは目をらんらんとさせてわたしに食いつく。心臓がいやでも高鳴ってきた。
「友達になって欲しいの」
「友達? ……って、わたしたちもう友達だよね」
と、シャーロットからあっさり突き返されて、なんてわたしはいかにも説明が足りなかったことを知る。これじゃあ、ばかだって言われてもしかたがない。
「そうじゃなくって、もっとこう、くらいの高い……友達にしてくれたらなあって……」
伝えたい気持ちが言葉にならず、わたしはジェスチャーを交えてシャーロットに言った。それでもわたしの気持ちが全部伝えきることはできなくって、いっそうもどかしい思いが強くなった。
でも、シャーロットはわたしの気持ちを理解してくれたみたいだった。
「わかったよ。特別あつかいにして欲しいんだね。それぐらいだったら、大丈夫だよ。パパの言葉で言うところの、大事な大事なお客さん……。そんなえらい感じの人と同じあつかいにすればいいんだ」
最初のコメントを投稿しよう!