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おかしいと思っていた違和感もすべてがクリアになった。
この部屋は私達が暮らしてきた部屋ではない。
私が記憶喪失になったことを良いことに、引っ越して以前のことを
まったく思い出せないようにしていたのだろう。
りょうたの遺影すらも、ここにはない。
すべてを無かったことに。
あなたはそんなに自分を守りたいの?
私はあの日のように、台所にふらふらと歩いて行った。
「あなた、最近ね私何かを忘れていたような、大切な何かを忘れていた気がして。
どうしても思い出せなかったんだけど。今、やっと思い出したわ。」
包丁を握り微笑む私を、主人が驚愕の目で見ていた。
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