オカンとボクの二人三脚

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 次の日、僕とタッケーはおノボリさんの雰囲気満載で東々テレビに到着した。 「え、前フリて放送せぇへんのですか?」  すっかり電波に乗って放映されると思っていたのに、僕とタッケーはADさんの説明に拍子抜けした。 「ええ、ですからハバネロクラッツさんはカメラが回る前の、会場のお客さんのテンションを盛り上げる為にネタを披露してください。  エンキンコロンブスさんは、始まった時に客のテンションが低いのをすごく嫌がりますから」  ではまた呼びますので、と言い残し、ADさんは慌ただしく走り去って行った。他のスタッフの人らも僕らの事など目にも入らんと忙しなく働いていて、それを見てタッケーはぶるっと身震いした。 「……なんや、怖なってきた」 「今更おそいわ」  しばらくして楽屋入りしたエンキンコロンブスに、僕らは挨拶に伺った。  ドキドキしながら『エンキンコロンブス』の張り紙のある扉をノックすると、遠野さんの高い声が「はいよぉ」と聞こえた。 「おはようございます、ハバネロクラッツです。 お声がけしていただき、ありがとうございます。 兄さんの番組で勉強させていただきます。 今日はよろしくお願いします」  扉を開けて畳敷きの控え室でくつろぐお二人に、僕らは最敬礼をして挨拶をした。  ガチガチの僕らに、やはり遠野さんは優しく声をかけてくれる。 「今日はよろしゅう頼むで。 初めてやし、そんな力まんと頑張りや」 「はい。ありがとうございます」  顔だけ上げて遠野さんにお礼を言うと、反対側に座る近野さんと目が合うた。  大型獣を連想させる近野さんの眼力に、僕の本能が尻込みする。 「……冷めた会場作んなや」  ゾッとする一言やった。  僕らは、ただ小さく「はい」と言うしか無かった。
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