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「初めましてこんにちわ~!ハバネロクラッツのタッケーと」
「こんにちは~!ハバネロクラッツのすぐるですぅ!」
僕らは勢いよく舞台に飛び出した。
劇場では、お客さんは照明の当たらん僕らの足元の場所に座って見上げてくれてはる。
だけどテレビのスタジオでは、お客さんが明るくてえらい近い場所の、階段状の客席に座って僕らを見下ろしている。
「いや~俺らね、東京初めて来ましてん。凄いですね! ビックシティ!」
「ホンマですね。僕もそう思いました。
でもね、驚きはしません」
「なんでや」
「僕もね、下半身にビッグシティ持ってるんで」
「いきなり下ネタやめえ」
大阪やったらこのツカミで、今日のお客さんの状態が分かる。ここでどっと沸いてくれたら滑り出しは良好や。
しかし、ここは東京。数人がくすくすとお上品に笑うて終わった。
あかん。
タッケーと目配せをして、一瞬で状況を把握した。しかし始めてしまったネタを、今さら変更は出来ひんかった。
照明が熱い。
大阪のちょいエロネタは、東京ではどエロネタになるんやろか。
小さい笑い声をうっすら聞きながら、僕は自分がずいぶんと前から驕っていた事に気付いた。
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