オカンとボクの二人三脚

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 それでも、何個か“ちょいエロ”ではないネタを起こして、タッケーとネタ合わせをして舞台で披露した。 「これやったら、『お笑い!起爆財(きばくざい)!』の番組にも呼ばれるかもしれん! やったな! すぐる!!」 「……どやろか」  ウケることはウケた。  しかし、お客さんの方が前のネタとガラリとちゃうから、戸惑ってるのも垣間見えた。  ……オカンも大爆笑しながらも、いつもと違った。  こんなん、僕のやりたい漫才やない。  賛否両論のきわどい所でウケんのが、僕らの芸風や。ハバネロクラッツから刺激を抜いたら、ハバネロがただのピーマンになってまう。  喜ぶタッケーの横で、そんな不満を覚えながら共同控え室に戻った時だ。  滅多に僕らの前に現れないマネージャーが、珍しくそこにおった。  いつもはスマホのみで連絡をしてくるマネージャーがわざわざ僕らに会いに来るのだから、流石に僕もタッケーも何かを期待した。 「ハバクラさんお疲れ様です。来週の26日、東京行ってください。東々テレビの『エンキンダイブ!!』の前フリの仕事、入りましたんで」  スカした東京弁でマネージャーがスラスラと話す。 「エンキンダイブ!!」は東京でエンキンコロンブスがやっている冠番組だ。  その番組の前フリは“ヤキソバ冷men”さんがずっとしていたが、車に跳ねられて現在入院中らしい。 「なんで、こっちから出たことない僕らになったんですか?」  タッケーは手放しで喜ぶけども、僕はそれよりも怖さが勝った。  マネージャーは僕の怖さなど知りもせず、何てことはない、と言わんばかりに冷めた目を向けた。 「エンキンの近野さんから、『ハバネロクラッツを』と、ご指名を頂きました」
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