日常

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そんな周りの様子を気にする事無く、もう一人の多幸君と呼ばれた男が口を開いた 「同じく大川第二中から来ました、多幸一音(タコウカズネ)です。俺と楽斗は中学の時もバスケ部に所属していました。これからよろしくお願いします!」 彼の明るく純粋な笑顔に俺は目を奪われた こんなに純粋で明るい笑顔を見たのは初めてだった 幸せそうに、充実した日々を送って居るのだろうと容易に想像できるような屈託のない笑顔に少し興味を持った いつも通りの笑顔を浮かべながら眼を細める 高橋君の自己紹介の時と同じく全員が驚きで固まってしまっている さてどうしようかと考えていた時、視界の端で赤茶色の髪の毛がふわりと動くのが見えた 覚醒したのか、隣にいる長谷川先輩が呆れた様な溜め息を漏らす 「今年の一年生は凄いなあ。坂ノ下の元キャプテンに大川第二の元バスケ部が二人なんて、ビックリだわ。」 先輩の言葉に周りは頷いている そんな彼等の様子に俺は苦笑を浮かべた 高橋君と多幸君は意味が分かっていないようで首を傾げている しかし俺の顔を見ると驚いたように目を見開いた そして高橋君が此方を指差して叫んだ 「あー!お前、坂ノ下のキャプテンの爽やか王子じゃん!なんでここにいんの?!」 懐かしいあだ名が出てきたもんだ それにしても、何故あいつがそのあだ名を知っているんだ? 特に交流は無かったと思うんだが .
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