日常

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あだ名の通り爽やかな笑顔を浮かべながら俺は彼に問う 「あはは、懐かしいあだ名だね。俺は小倉龍玄って言うんだ、よろしく。そういえば、大川第二とは一回も戦った事が無いのによく俺のあだ名知ってたね?」 人好きしそうな俺の笑顔に高橋君も笑みを返してきた 活発そうに笑う彼は裏表が無さそうに見えた 「おう、よろしくな!坂ノ下とは一回も戦った事は無いけど、そこのキャプテンは有名だったからな。イケメンでバスケの上手い奴がいるって。チームメイトが“爽やか王子”って呼んでるのを聞いた奴等があだ名を広めたみたいだぞ?県大会に出てたチームなら大体が知ってると思うぞ。」 つらつらとよく喋る彼に、俺は少し顔が引き攣りそうになった 俺は余り口数が多い者は好きでは無いため、嫌そうな表情を出さないよう気を付ける 彼に聞き返した事を少しだけ後悔した だが、俺がそんなに有名であったのは予想外だった しかも県大会に出てたチームなら大体が知っている、となると県内では結構な人数が俺の事を知っていることになる 俺のあだ名も一緒に あのあだ名が好きでは無い俺にとっては悪夢のようだ 溜め息を吐きそうになるのをぐっと堪え、高橋君に笑い掛ける 「そうなんだ、知らなかったよ。教えてくれてありがとう。有名だなんて照れるなあ。恥ずかしいよ。」 照れたように俺は頬を掻くと視線を下げた 俺の様子を見ていた高橋君が小さく 噂通りの爽やかさだな、と呟いているのが聞こえた .
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