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「いいけど、俺の家は駅とは反対方向なんだ。二人は自転車?」
俺の言葉に二人は落胆したように肩を落とした
残念そうに眉を下げている
「そっか…俺等は電車通学なんだ。小倉は歩きか?」
俺も残念そうな表情を浮かべ、苦笑を漏らす
そして高橋君の問いに答えた
「うん、俺は歩きなんだ。家が近いからね。」
多幸君が少し思案顔になるが、少しすると納得したように手を叩いた
「そういえば坂ノ下中はここら辺だったな。坂ノ下出身の奴が少ないから気づかなかったわ。」
確かに坂ノ下から来ているのは俺だけだ
先輩方の中にも一人居るかどうかだろう
坂ノ下中ではなるべく生徒を公立高校に行かせようとしているため、私立高校に進学しようとすると何度も先生方に説得される
そのため大体が途中で公立高校に進路先を変更するのだ
俺は笑顔で有無を言わせなかったが
その時の先生の顔は青ざめていて少し愉快だった
「まあ、この学年では坂ノ下出身の生徒は俺だけだしね」
先生の青ざめた表情を思い出していた俺は少し楽しそうな声音になってしまった
そんな俺の様子に二人は首を傾げていた
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