小倉 龍玄

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初めて俺が、周りとは違うということを認識したのは小学五年生の時だった 五年生にもなると、皆恋愛に興味を持ち出し好きな人の話等をするようになった その時はまだ好きな人のいなかった俺は基本的に聞き役をしていた 女の子を見てもなんとも思わない 俺はその事に違和感を感じるようになった “何で俺は女の子に特別な感情を感じないんだろう” そう悩んでいたある日のことだった 消しゴムを落としてしまった俺はそれを拾おうと床に向かって手を伸ばした すると、隣の席の男子も拾おうとしてくれたようで手が重なった 驚いて顔を上げた俺の目の前に仲のいい男子の笑顔があった 顔の近さに驚くのと同時に胸が高鳴った そして、その意味を理解すると俺は絶望した 幼いながらも、同性が恋愛の対象であることは異質なことだと理解していた俺は、誰にもその事を話さなかった 他とは違うものは排除される 笑顔を張り付け表情を取り繕った 恋愛の話題になると、質問されたことは笑顔で受け流した そのまま小学校を卒業した俺は公立の中学校へと進学した 中学生になり、俺はバスケットボール部に入った スポーツは好きだった それをしている間は余計な事を考えずにいられたから .
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