日常

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鷲尾先輩と長谷川先輩に用事があるので、と断り別れた龍玄は早足に帰路につく 奏と有菜も雑談しながらついてきている 「あの金髪っぽい子さー、結構美人だったよねぇ。なんかチャラそぉだけど。」 鷲尾先輩のことがどうやら気に入ったらしい奏は目の保養になったとご機嫌だ そんな奏に鼻を鳴らし反論する有菜 「そうか?私はあの軽薄そうな笑みが気にいらん。その隣の猫のような彼の方が魅力的だと思うが。」 全く興味無いとばかりに会話を聞いていない龍玄に対し奏が揶揄するように質問した 「ねぇクロ、もしかして高校のバスケ部って顔良い人多いのぉ?クロのタイプいたー?」 周りに誰も居ないことをいい事に表情を作らず、無表情に冷たく奏を一瞥した龍玄は考えるように視線を彷徨わせる 一瞬の思考の後、思い当たる節があったのか口を開いた 「まあ、顔立ちは整っているやつが多いな。気になるヤツは特にはいねぇよ。」 一瞬頭に浮かんだ天真爛漫な笑顔に気づかない振りをする 昼と夜、決して交わらない時間の中にそれぞれの顔を持つ龍玄にはあの笑顔は手の届くことは無い遠くの物のように思えたのだった
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